内視鏡室
消化管腫瘍の内視鏡治療
食道がん、胃がん、大腸がんは、粘膜(浅いところ)に限局したがんであれば、開腹手術でお腹を切ることなく、内視鏡で治療することが主流となっています。
開腹手術と比べて苦痛が少なく、入院期間が短く、術後の機能障害を残さないなど、種々の特色があり、治療効果は同等です。
以前は内視鏡では切除が難しかった2センチメートル以上の腫瘍についても、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)という方法で治療できるようになりました。
様々な理由で内視鏡治療が適切でない場合には、外科と連携して迅速に対応いたします。
また、大腸ポリープの治療は、ご希望に応じて診断時にその場で行うことができますので、検査の予約をする時に外来主治医とご相談ください。
胃癌治療の一例
内視鏡洗浄
器具の洗浄・消毒などは日本消化器内視鏡技師会が発行している「内視鏡洗浄・消毒のガイドライン」に準じてマニュアルを作製・活用し、厳密な内視鏡機器の感染管理を行っています。
お一人ごとに検査が終了次第、マニュアルに沿って洗浄していますので、安心して検査を受けて頂けます。
胃癌治療の一例
オリンパス製洗浄機2台導入しています。過酢酸消毒液を使用し高水準消毒を行っています。
マウスピース等は一人一人の患者さんに全て滅菌処理したものを使用。
生検鉗子(内視鏡で組織検査する道具)はディスポーザブル(使い捨て)製品を使用しています。
全例ダブルチェックとお知らせシステム
健診の内視鏡でさかのぼって検討したところ、およそ181)~252)%で見落としがあったという報告がありました。
当院ではそういった見落としがないように、内視鏡検査の全例をダブルチェックし、カンファレンスで検討が必要な症例をピックアップして治療方針などを相談して決めています。
その結果、再検査や治療が必要な症例について、その旨を主治医と患者さんにお知らせしています。
また、大腸ポリープ切除後の経過観察が必要な患者さんには、検査時期になったらお知らせを郵送させていただいています。
上記のことを漏れなく行えるよう内視鏡システムも作成し、2012年より運営しており、院内の他科の医師からは「安心感がある」と言っていただいており、当院で検査や治療をしていただいた患者さんの健康の維持に寄与できているのではないかと自負しております。
1)Hosokawa, O., Tsuda, S., Kidani, E., et al. : Diagnosis of gastric cancer up to three years after negative upper gastrointestinal endoscopy. Endoscopy 30; 721-723, 1998
2)吉田諭史、馬場保昌、丸山雄一、他:胃上皮性腫瘍の内視鏡観察成績-内視鏡健診のあり方について.日消がん検診誌44;605-615,2006
*)生検=内視鏡の時に行う組織の検査。粘膜の一部を採取します。(希望されない方には送らないようにします)
洗浄管理システムの作成
内視鏡認定技師の資格を持つ看護師が、専門知識と現場での豊かな経験を活かして、システム会社と共同して独自の洗浄管理システムを作成しました。
内視鏡を使用毎に洗浄・消毒を行い、患者さんにどの内視鏡を使用し、誰がどの洗浄器で洗浄・消毒を行ったかなどの履歴管理をしています。また消毒液などの使用状況、修理記録なども一元管理できます。
院内のオーダーシステムと連動しているため、登録ミスもなく確実な履歴管理が行えます。
胃瘻看護外来
- 胃瘻造設後の管理を病棟の看護師と連携をとりながら行っています。
- 胃瘻造設を迷っている患者さんやそのご家族に胃瘻に関する詳細な説明をしています。
- 施設や在宅の患者さんの胃瘻に関するトラブルの相談窓口となっています。
- 胃瘻患者さんの履歴を管理し、胃瘻を適切にケアできるよう考えます。